■GISTの診断の流れ
|
GISTは、多くの場合、消化管粘膜下腫瘍として内視鏡や消化管造影検査で発見されます。そのうち、腫瘍径の大きい場合に手術を実施し、切除した組織を検査した結果、GISTであることが判明します。また、手術が困難な場合などは、先に腫瘍組織を採取して検査を実施することもあります。
食道、胃、十二指腸、結腸・直腸のGISTは、内視鏡や消化管造影検査で発見されることが多いと考えられます。一方、小腸のGISTは発見・診断が困難で、最も有望な手段はCTです。また、食道や胃、十二指腸、直腸結腸のGISTでも、4〜5cmを超えると診断された場合、周囲の臓器などへの進展を正確に診断するためにはCT(またはMRI)が重要となります。
|
|
■組織検査によりGISTかどうかを確認
|
GISTの腫瘍細胞は、ほとんどの場合でGISTに特徴的な蛋白(KIT蛋白といいます)を発現しています。そのため、最終的には腫瘍組織を「免疫染色」という方法によって染めて、KIT蛋白が発現しているかどうかを確認することが診断の重要なポイントになります。また、そのほかにもさまざまなマーカーの検査を行い、最終的にGISTかどうかを判定します。
|
西田俊朗ほか:癌と化学療法31 : 331-336, 2004より改変
|
■GISTに特徴的なKIT蛋白とは?
GISTでは、腫瘍細胞の細胞膜にあるKIT(キット)とよばれる蛋白の異常が原因であることがわかってきました。KIT蛋白は、本来は特定の物質の刺激を受けたときにだけ細胞増殖のシグナルを伝達しますが、このKIT蛋白に異常が起こると、増殖のスイッチが常に“ON”になり、その結果、細胞の異常な増殖が起こります。
このように、GISTがKIT蛋白の異常が原因で発症することは、1998年にGIST研究会運営委員の廣田(現:兵庫医科大学
病院病理学 教授)らによって、世界で初めて発見されました。その後、わずか数年の間に急速に研究が進み、後述のKIT蛋白をターゲットとした分子標的治療が実現したのです。
実際に、GISTの約90%以上でKIT蛋白の発現が見られますが、そのほか、KIT蛋白の親戚であるPDGFRα
蛋白の変異が原因となる場合も数%にみられます。さらに、KITやPDGFRα に変異がない場合もごくまれにあることがわかってきました。
■GISTの良性・悪性はどうやってわかる?
良性・悪性という表現は、胃癌や大腸癌などで用いられます。その理由は切除すればほとんど再発しない場合と、予後が悪い場合の区別がはっきりしているためです。しかしGISTでは、腫瘍径が小さい場合などでも再発の可能性があることから、良性・悪性という明確な区別が難しいため、再発の危険性(リスク)が高いか低いかで分類されます。リスクが高いのは腫瘍径が大きい場合や、分裂している腫瘍細胞の数が多い場合です。いずれにしても、すべてのGISTは潜在的に悪性の可能性がありますので、定期的な経過観察が重要です。
| |
腫瘍径 |
腫瘍細胞分裂像数* |
| 超低リスク |
<2cm |
<5/50HPF |
| 低リスク |
2〜5cm |
<5/50HPF |
| 中リスク |
<5cm
5〜10cm |
6〜10/50HPF
<5/50HPF |
| 高リスク |
>5cm
>10cm
Any Size |
>5/50HPF
Any Mitotic Rate
>10/50HPF |
|
*:高倍率視野50視野当たりの細胞分裂を示す腫瘍細胞数
HPF:High-Power Field(400倍率) |
| Christopher DM et
al : Hum Pathol 33 : 459-465, 2002 |
|